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電源が入らない液晶モニタの修理


機種名:タッチパネルモニタ TPS 1415TD15/H2
会社の備品。価格は知りませんが、タッチパネルなので結構高価なものかと思われます。TPSからは昔ブラウン管のタッチパネルも出てたようですが、これは液晶。型番から見て、14インチか15インチかと。実際、『どっちなんだ?』 って型番ですが・・・・ VGA(1024*768)です。
症状:電源入らず。『電源を入れたら一瞬だけ正常表示して、そのまますぐに電源が切れる』 という時期も。

会社で、1〜2年の間隔を空けて同型機種2台が同じように故障しました。修理見積額が1台あたり2万越えだったので、廃棄するつもりでバラしました。故障箇所の見通しとしては、電源回路の異常です。

載っけても仕方ないけど、TPS (TOUCH PANEL SYSTEMS) の表記。

載っけても仕方ないけど、なんとかタッチモーションズとか書いてる。

リアパネルの表示。なんだかエネルギースター準拠です。右側上部はおなじみの VGA端子ですが、その左側にある似たような大きさのコネクタは RS-232C 端子。タッチパネル関連の信号をここで PC とやり取りしてます。


まずは脚部を外す準備としてリアパネルのカバーを外します。ネジ不使用、ぱかっとはずれます。

脚部を外し、液晶面を伏せたショット。脚部のはずし方はそんなに難しくないので割愛です。
難しいのは、リアパネルの取り外し。一応ネジも使われていますが、基本的な構造はハメコミです。なので2枚貝をこじ開けるような作業が発生します。

こんなふうに、マイナスドライバの小さいのを隙間に差し込んで、こじこじします。筐体に小キズがつくのは覚悟しないとやってられません。こんなんじゃ、カネ取れんなあ。

……… 取るつもりか?

フロントパネルが外れました。分かりづらいかもしれませんが、何かのユニットが中央に亀の子みたいに乗っかっています。これは4本のネジで簡単に外せます。 簡単に外せますが、分解はゆっくり行います。この何かのユニットと周辺をつないでいるケーブルが非常に短く、『えいやっ!』 とやると、ケーブルを切ったりコネクタを壊したりする危険性があります。

あまり修理とは関係ありませんが、この機体はこのようなスポット溶接が多用されています。これは電源スイッチなんですが、これがネジ留めであれば、今回の修理はかなり作業性を上げられたと思います。

亀の子を外してみました。そして裏から見たところです。どうやら、透明の絶縁シートで覆われているのが電源のようです。そして、左奥に見える小さな基板は RS-232C まわりのものと思われます。
電源と思しき基板を外してみましょう。

BINGO! 電源でした。 写真で見て基板左端から上端に見える白っぽい物体は、レギュレータの放熱板です。4mm くらいのアルミ板をざくっと裁断しただけのような、非常に荒っぽいものです。
むむっ。なんか左側に見えているコンデンサが変。

どれどれ?

カンのいいヒトは分かりましたネ。

コンデンサの頭がふくらんでいます。ってか、この拡大写真より、この上の写真のほうが分かりやすいですね。
おかしくなってるのは2コ、両方とも
   25V 1000μF 105℃
というものです。さて、困ったことに私は電子パーツは在庫していません。近所にはパーツ屋さんもありません。とりあえず手持ちのジャンク基板から同じ仕様のものを探しましたが、見付かりません。

なので一度この状態で電源を入れ、このコンデンサにかかっている電圧を測ってみました。すると 10V 弱。指示値が平滑前の実効値であることを考えると、おそらく 12V を供給しているものと思われます。であるならば、16V 仕様のものでもなんとかなりそうです。と、こういうギリギリの選定など、よい子はマネせんように。
なんとかならなくても、せいぜい煙を吹く程度で済むかと。

ぉぃぉぃ…

ジャンク基板です。壊れた MD デッキのものですが、これを眺めていたら、
   16V 1000μF 85℃ …1コ
   16V 2200μF 85℃ … 1コ
が見付かりました。なんだか1コは容量が倍以上もありますが、どのみち電源平滑用です。小さいよりは大きいほうがいいってもんです。ほんとにいいのか? まあいいや。
で、ジャンク基板からコンデンサを外し、移植しました。ここは一気にいったので写真を撮るのを忘れていました。まあ、原因特定までの道筋を示せたので OK ということにしてください。

ついでなので、液晶画面の汚れも掃除します。修理にかかる前に全体を見渡して、ちょうど 『ガラスの裏側』 に汚れがあったんです。どうも、結露した跡のようです。クルマに乗っていて、フロントガラスが汚れてるから運転席から拭いてみたら、実は車外側の汚れだった、あ〜イライラ、というタイプの汚れです。

コンデンサ交換の済んだ電源基板を元のように組みなおし、さらに亀の子も元に戻してから改めて作業です。

なんだか説明が前後するような感じになりますが、亀の子が乗っているのは実は液晶ユニットで、その下にタッチパネルがあります。なので、液晶ユニットを外してしまいます。ユニットそのものはネジ4本で外れますが、そこからケーブルでつながれているスイッチ(OSDまわりの押しボタンスイッチ)基板も外さないといけません。詳細は略しますが・・・・
で、バラした結果がこの写真。ちょうどノートを開いたような感じで、奥の黒いのが液晶画面、手前の透明なのがタッチパネルです。どうやら TPS が作っているのはこのタッチパネルのみ(それと全体のアセンブル?)のようです。

ほらね。
これはタッチパネルの角っこに貼ってあるシールですが、内部で TPS ロゴのあるものはここだけでした。液晶そのものには SAMSUNG のシールが貼ってあったし・・・・・

ほれ。

おっと、回り道しすぎですね。本論に戻りましょう。

まあ、ごく普通のガラス掃除ですね。ガラス洗剤がタッチパネルに影響を与えないかは未確認ですが、あんまり問題ないと思います。問題あったらそれまでってことで。
さて、掃除が終わったら組み戻すのですが、これが大変です。液晶パネルとタッチパネルの間にちょっとでもホコリを入れてしまうと、視認性が非常に悪くなります。視認性が落ちなくても、中にホコリが見えるというのは非常にイライラします。クリーンルームが欲しいです。
何度も何度も、組んではほこりが見付かってバラし、を繰り返しました。で、OK と思って、最後まで組み立てました。でも、ちょっとだけ、ゴミが残ってしまいました。でも完全に組んだ後なので、ドット抜けと思って諦めました………

画面にホコリを残したことを除けば、完治です(^^)v
左側は私が従来使っているブラウン管モニタです。発色はブラウン管の方が好きなんですけどね。でもまあ、同じ液晶でも EIZO にはかないません。
液晶の利点は、直線性が確実に確保できるということでしょう。

完了。

直りました。

あと何年生きることでしょう。がんばれ、1415TD15/H2。

2006/12/12


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