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YAMAHA KX-W600の修理

機種名:YAMAHA KX-W600
ウチのホテルのバンケット会場で活躍しているテープデッキで、私が入社した時にはありました。
ということは少なくとも10歳は超えてます。……おそらく、20歳くらいの機体だと思いますが、ウェブで検索してもほとんど情報の得られない機種です。
たぶん、1980年代に一桁万円台後半あたりで売られたクラスのものでしょう。
症状:再生時、高域伸びず。(録音はしない機材なので、録音状態は不明)

症状は、高域が伸びないというものです。特にデッキA(左側のデッキ)では顕著で、使えないに等しいレベルです。
ちなみに、録音用途でこれを使うことはないので、録音した時の状態は分かりません。無論、講演会や会議の録音といったニーズはあるのですが、その時は別の比較的新しい機体を使うので、問題視もしてませんでした。
そして、今回のメンテナンスも録音に関してはあまり意識しないことにします。

さて、ばらしてみますか。
故障箇所の見通しとしては、ヘッドの帯磁・汚れ、ヘッドアジマスのずれです。
なお、ヘッドクリーニング・消磁は結構一般的な作業なので、紹介を略します。
ここで、録音状態に間違いのないテープが調整用に必要となります。信頼できるテープデッキできちんと録音したもの、あるいは市販のミュージックテープを使うと良いでしょう。私はミュージックテープを使いました。

ヘッドアジマスとは、テープとヘッドの平行性のことです。これが狂うと、つまりヘッドとテープの角度がぴしっと0度(90度になるのかな?)になっていないと、高域が伸びなくなったり、シンバルの音が独特の 『シュワシュワ』 した音になります。
本記事中盤で、写真で説明します。

作業開始

着手前の機体。とにかく汚い。最近私は面倒見てなかったんだけど、もっとていねいに使えよ…

ボンネットを開けて、

カセットホルダのカバーを両方とも外して、

フロントパネルも外して、(この画像は、フロントパネルを外しかけてる様子を上部から見たものです)

しっかしこのパネル見ても、ホコリのひどいこと。

フロントパネルについてる電気の通るパーツは全部外して……操作ボタンなどがついてますのでね。

昼飯の後片付けも済まない台所で、ごしごし中性洗剤で洗います。メンテナンスには直接関係ないようですが、この作業が気分を左右するんです。同様に、ボンネットも洗いました。

乾燥………

ヘッドを掃除しようと思いましたが、それ以前にメカ下部全体的にほこりが積もってるのが気になります。

毛が長くて柔らかいブラシでホコリを払いながら、掃除機で吸い取ります。この掃除方法は、いろんなところに応用が利きます。卓のトンコロのあたりの掃除とか、窓のサッシとか(^^;)

ここからが佳境です。さっき洗ったフロントパネルがまだ乾かないので、操作ボタンとディスプレイを仮配線します。と言ってもコネクタを刺すだけですが………再生ボタンに 『再生』 と書いてあるわけではないので、どのボタンが何なのかを把握しながらここからの作業を進めます。
ていうかこの写真で、ボタンの基板とディスプレイが分かるかなあ。

ヘッドアジマスの調整ポイントはここです。ヘッドのすぐ下の左右に小さなネジが見えますね。これの左側のネジが正方向走行時のアジマス調整、右側のネジがリバース時のアジマス調整です。

まず、テープを正方向に再生しながらこの左側のネジを細かく回してみて、シンバルとか人の声のサ行がきれいに自然に聴こえるように調整します。
次に、テープをリバース再生しながら右側のネジを細かく回してみて、同様に調整します。
そして、正方向に改めて再生しながら調整、またまたリバース再生しながら調整、を何度か繰り返すといい結果につながるようです。

いろいろネットで調べていくと、本来はきちっと測定器を使って追い込んでいくべき調整らしいです。でも、とりあえず身の回りにあるもので、できることをやる!という私のコンセプト(?)なんで耳に頼った調整を行いました。
PCでもできないことはありません。詳しくはこのページを見てみてください。

ヘッドを正面から見てみました。調整ポイントが分かりやすいでしょ?そうそう、調整の終わったネジは修正液で固めておきました。(修正液の他に、固めるものがなかったのよ)

さ、メインとなる作業は終わりました。

参考までに、ヘッドアジマスを故意に極端に狂わせてみたところです。写真上で、ヘッドが右肩上がりに斜めになってるのが分かると思います。

あ、忘れてた。

よかった。
組み立て方が分からなくなったらどうしようかと思った…

よかったよかった。
あとは、カセットホルダのカバーと、ボンネットを組み付けるだけです。

完了。

直りました。

このあと、ヘッドの消磁とクリーニングを行い、FIXとしました。
普通にテープを聴く分には、何の問題もないレベルになりました。A,B両方のデッキで、正方向・リバース方向とも問題ありません。3ヘッド機ではないので、この分だと録音も問題ないでしょう。たぶん。
実は、カセットデッキのヘッドまわりってのは私から見たら聖域で、『侵すべからず』 だったんですが…… 侵してしまいました。まあ、会社として次の機材を新規購入することがほぼ決まった段階で、つまり捨ててもいいようなカセットデッキだったんで、できた作業でもあります。

でも、この作業を何年も前に実行することができたなら、何台のデッキをリペアできたことでしょう。残念な過去がいくつか。

あと何年生きることでしょう。がんばれ、KX-W600。

2006/9/29


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