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PIONEER M-1500の修理

機種名:パワーアンプ PIONEER M-1500
ネットでいろいろ調べてみても、情報の少ない機体です。ようやく分かったのは1978年ごろの製品、当時の定価は40,000円、出力:50W+50W (8オーム時)。
…という程度。ちなみにメータ球は何年か前に交換しました。壊れたテープデッキから移植 (^^)v
症状:電源オン直後、小音量では右の音が出ない

さて、患者さんは写真の下の方にあるパワーアンプです。10年以上前に建築関係の仕事をしていた頃、写真の上の方にあるプリアンプC-1500とセットで、産業廃棄物処分場で拾ったものです。捨てられた直後らしく、雨に打たれた跡もなかったのでしれっと頂いて参りました。
少々ごつい格好してますが、民生機です。未だにバリバリ動いてます。

症状は、「電源ONしても、右の音が出てこない。でも、少しボリウムを上げると、それ以降は小音量でもちゃんと出てくる」というものです。ここ1年くらいから出始めた現象です。

さて、ばらしてみますか。故障箇所の見通しとしては、出力リレーの接点不良です。

出力リレーとは、電源を入れた直後に発生する電気的ショックがスピーカにいかないように、電源ONしてから数秒しないとスピーカ出力が出ないようにするためのリレーです。

作業開始


ボンネットを開け、上面から覗いた様子です。左上端は電源トランス。質量の大部分を占めます。上側の変な、パイプを連ねたようなのは、最終段のトランジスタのヒートシンク 放熱板)です。
しかしまあ、シンプルですねえ。時代が時代(背面に昭和56年というシールがあった)なので、すべてディスクリート構成です。
そんな余談はおいといて、先へ進みます。

問題のリレーはこれです。外さないとメンテしにくいので外します。
裏から半田ごてをあて、全てのピンの半田を除去して引き抜きます。

これです。これがリレーです。
なんだか、計装屋さんだった頃によく使った、オムロンの MY シリーズを彷彿とさせるデザインです。 わかんない人ごめんなさい。

透明なプラスチックのカバーを外しました。少々の思い切りが必要でした。

で、問題の接点部分です。中央より少し右側に見える銅色の4つの金属片がが可動接点で、その上に若干重なってるアルミっぽい色した4つの金属片が固定接点です。

ブルーのコイルに電圧をかけると、可動接点を支えている鉄片がコイルに吸われてかちっと動いて固定接点に接触し、電流が流れるようになります。
実は上の方に見えるつのアルミ色の金属片は使わない接点です。電源ONすると、銅片の奥に隠れている4つのアルミ色の金属片に、銅片が接触してスピーカ出力が出て行くようになるんです。
この接触部分が、長い年月を経て汚れていることが今回の症状の原因でしょう。

銅片を支えている鉄片を外しました。
うっかり写真を撮り損ねましたが、この鉄片はバネひとつ外せばリレー本体からすぐに外せます。

で、正方形の金属片が貼り付けられているのが分かるでしょう。ここが実際に接点となる部分です。汚れてますねえ。

対して、固定接点。これもよく見ると、内側の接点部分に四角い金属片が見えます。

さて、掃除しましょう。使うのは、CAIG(ケイグ)というメーカの接点洗浄剤、Pro Gold G5 です。サウンドハウスで入手できます。

綿棒の先にぷしゅっとひと吹きし、まず可動接点をきれいにします。

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苦労したのは固定接点側。間隔が狭く、綿棒が入りません。なので、綿棒をほぐしたのをピンセットに巻きつけ、接点洗浄剤を染み込ませて掃除します。

あとは元通りに透明カバーを取り付け、基盤にきちっと半田付けしておしまいです。

関係ないけど気になったこと:基盤から出て行くコードは、すべてラッピングでつながれています。つまり、基盤に立てられたピンに、半田あげしたコードを 巻きつけているだけなのです。当時の製品によく見られたものです(今もあるのかな?)

つまり半田づけされているわけではありません。これを全て半田付けしようと思いましたが、表面の汚損がひどいのか、ほとんど半田が乗りませんでした。諦め。

完了。

直りました。
電源ON直後からしっかりと音が出ます。

あと何年生きることでしょう。がんばれ、M-1500。


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